ご相談の九割はサウナ室の話です。ところが、実際に使い始めてから「思っていたのと違う」と言われるのは、たいていサウナから出たあとのこと。熱くなった体を冷やす手段と、そこまで歩く動線。この2つが抜けていると、どれだけ立派なサウナ室でも物足りなく感じます。家で現実的にできる冷やし方を4つ、水回りの施工屋の目線で正直に比べます。
サウナ室をどこに置くかより先に、出たあとに3歩でどこへ行くかを決めてください。冷やす場所と、休む場所です。ここが決まっていない計画は、たいてい後から困ります。
家で使える冷やし方は、現実的にはこの4つです。
どれが正解ということはありません。使う季節、置ける場所、かけられる費用で変わります。順番に見ていきます。
「家のサウナは施設ほど気持ちよくない」という声を聞きます。原因はヒーターの力ではなく、冷やす工程が抜けていることがほとんどです。
温めて、冷やして、休む。この3つが揃って初めて、あのすっきりした感じになります。サウナ室だけを立派に作って、出たら廊下、というつくりだと、温めるところで話が終わってしまう。後悔する7つの理由でも、水風呂が無いことを理由の3番目に挙げています。
そして冷やす工程は、まるごと水回りの領域です。給排水、防水、床、換気。サウナ屋ではなく、風呂を作ってきた人間が考えたほうが早い部分です。
今ある浴室のシャワーを冷水で使う。工事も費用もかからず、置き場所も要りません。まずはここから始めて構いません。
正直に言うと、弱点もあります。浸かるわけではないので、体の芯まで冷えるのに時間がかかること。それから水温です。同じ蛇口でも、冬の水と夏の水は別物で、夏場はぬるくて物足りなく感じることがあります。施設の水風呂が一年中同じ冷たさなのは、冷却装置で温度を保っているからです。家の蛇口はそうではありません。
浴びるときは、いきなり頭からいかないこと。手足の先から順にかけて、体を慣らしてからにしてください。
浴槽に水を張れば、それが水風呂です。肩まで浸かれるので、シャワーとは冷え方がまったく違います。新しく設備を買う必要もありません。
引っかかるのは、水そのものより運用です。
職人からひとこと
既存の浴室にスチームを後付けする方式だと、サウナ室と浴槽が同じ部屋になります。出て一歩で水風呂、その場でシャワー。動線を考える必要がそもそも無いのが、この方式の地味だけれど大きい利点です。スチームサウナのページ →
水を冷やして温度を保つ装置です。入れれば、真夏でも施設と同じ冷たさの水風呂になります。憧れる気持ちはよく分かります。
ただ、条件が一気に増えます。
費用も本体だけでは終わりません。総額のコラムで書いたのと同じ構造で、設置と電気の工事が乗ります。総額は現地調査のうえ最初に提示し、後から追加請求はしません。チラーを検討されるなら、その前提でご相談ください。
冷やすのは水だけではありません。ベランダ、庭、窓を開けた脱衣所。外の空気に当たるだけでも、体はしっかり冷めます。
冬なら、これだけで十分という方も多いです。逆に真夏は、外に出ても冷めません。季節で使える月と使えない月がはっきり分かれるのが、この方法の性格です。シャワーと組み合わせるのが現実的でしょう。
用意するものは大げさではありません。座って休める椅子が1脚と、濡れた足で立てる床、そして近隣からの視線を遮るもの。この3つです。実のところ、体感を一番変えるのは冷やし方より「座って休める場所があるかどうか」だと、私は思っています。
ここからは設備屋の話です。冷やし方を決めたら、次の3つを必ず見ます。
水がかかる場所が増えるということは、乾かす手間も増えるということです。換気とお手入れの考え方はお手入れのコラムにまとめました。
そして順番の話に戻ります。サウナ室の場所は、冷やす場所と休む場所から逆算して決める。広さの検討(必要な広さ)に入る前に、ここを決めておくと迷いません。
ご用意いただきたいのは写真だけです。浴室、脱衣所、そして冷やす候補になりそうな場所(ベランダ・庭)。この3枚があれば、どの方法が向いているか、動線をどう組むかの見当がつきます。
KOYOは1985年創業、職人12名。販売から設計・据付・アフターまで自社一貫でやっています。サウナだけを売る会社ではなく、風呂と給排水をずっと触ってきた会社なので、冷やす側の相談こそ本業です。
実際に入って確かめたい方は、新横浜のショールームで体験もできます(予約制・体験のご案内)。「うちの風呂、水風呂に使えますか」だけのご相談も歓迎です。できないことは、できないと正直にお伝えします。
※本記事は一般的な考え方をまとめたものです。温冷の切り替えは体への負担を伴います。血圧・心臓に不安のある方、持病のある方は主治医にご相談のうえ、無理のない範囲でお楽しみください。水温や設備の可否は現場の条件によって変わります。機種と価格は価格表を、具体的なご相談はこちらからどうぞ。